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専任媒介と一般媒介の違い|1棟収益物件オーナーはどちらを選ぶか

不動産会社から「媒介契約はどれにしますか?」と聞かれて、説明を受けながらも「専任と一般、どちらにすればいいんだろう」と迷った方は少なくありません。

ネットで「専任媒介 一般媒介」を調べると、上位に出てくる記事のほとんどは一般住宅(マンション・一戸建て)を前提にしています。

「複数社に依頼して競わせる一般媒介がお得」という論調も多いですが、1棟アパートや1棟マンションの売却に、そのまま当てはまるとは限りません。

購入検討者が限られる収益物件では、「広く情報を出す=価格が上がる」ではなく、「重複掲載が売れ残り感を生む」という逆の動きが起きやすいためです。

この記事では、1棟収益物件オーナーの視点から媒介契約の種類を整理し、どちらを選ぶべきかの判断軸をお伝えします。

この記事でわかること
  • 専任・一般の仕組みと法的な違い
  • 収益物件で一般媒介を選んだときに起きやすいリスク2つ
  • 専任媒介で投資家ネットワークや水面下売却が動く理由
  • 物件タイプ・状況別の媒介契約の選び方

専任・一般は何が違う?基本の仕組みを整理する

「売」「却」と書かれた木製ブロックを中心に、左側に白い電卓、右側に白い家のオブジェが置かれたテーブルの上

媒介契約の一番大きな違いは、「何社に依頼できるか」です。

一般媒介は複数の不動産会社に同時に売却を依頼できます。

専任媒介は1社のみです。

依頼できる会社数が変わると、「情報がどこまで広がるか」「担当会社がどこまで本気で動くか」「売主がどこまで情報をコントロールできるか」が変わります。

特に収益物件では、この「情報のコントロール」が価格交渉に直接影響します。

なお、専属専任媒介という種類もあります。専任と同じく1社限定ですが、「自分で買主を見つけた場合も仲介手数料が発生する」という制約があるため、実務ではほとんど選ばれません。比較表には参考として掲載しますが、この記事では「専任 vs 一般」の2択を中心に整理します。

まずは違いを比較表で確認しましょう。

専任・一般の主な違いを比較表で整理する

専任と一般の主な違いは、依頼できる会社数・レインズへの登録義務・報告頻度の3点に集約されます。

専属専任は参考として併記しています。

比較項目 一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
依頼できる会社数 複数社OK 1社のみ 1社のみ
自分で買主を見つけた場合の扱い 手数料不要 手数料不要(直接契約可) 手数料が発生する
レインズへの登録 任意(義務なし) 契約翌日から7営業日以内(義務) 契約翌日から5営業日以内(義務)
担当会社からの活動報告の頻度 義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 制限なし 3ヶ月以内 3ヶ月以内

表中の「レインズ(REINS)」は、国土交通省が指定した不動産流通機構が運営する不動産業者専用の物件情報共有システムです。

登録すると全国の不動産会社に物件情報が届く仕組みです。

専任・専属専任媒介を結んだ業者には、宅地建物取引業法によりレインズへの登録が義務づけられています。

一方、一般媒介では登録が任意のため、会社によっては登録しないまま販売活動を行うケースもあります。

この違いが後述する「囲い込み」リスクとも関わってきます。

レインズに登録すると、売主には「登録証明書」が発行されます。

この比較表を前提に、収益物件固有の判断軸を後半で整理します。

どれを選んでも仲介手数料は変わらない

「専任にすると仲介手数料が高くなるのでは?」という誤解があります。

しかし、これは事実ではありません。

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法第46条と国土交通省告示で定められており、媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を問わず同じ計算式が適用されます。

売買価格が400万円を超える場合の上限は「(売買価格×3%+6万円)×消費税」です。

たとえば売買価格8,000万円の1棟アパートなら、仲介手数料の上限は約270万円(税抜き)。

専任を選んでも一般を選んでも、この上限は変わりません

専任・一般の選択によって生まれる違いは手数料ではなく、「担当会社がどう動くか」「情報をどう管理するか」という点です。

この本質を踏まえたうえで、次のセクション以降を読んでいただくと判断しやすくなります。

一般媒介を選ぶとどうなる?

「一般媒介契約書」の書類の上に置かれた、タブレット端末に表示された「日本全国地価変動率(住宅地)」の折れ線グラフ

一般媒介は「広く情報を出して多くの購入検討者を集める」方法です。

複数の会社を同時に動かせるため、競争原理が働くという考え方もできます。

ただし、収益物件の売却では一般住宅とは異なる注意点があります。

メリットを正直に示したうえで、収益物件固有のリスクも整理します。

複数社が動くため買主候補が集まりやすく、囲い込みリスクも低い

一般媒介の最大のメリットは、複数の不動産会社が同時に動いてくれる点です。

1社だけに任せている状態では、「この会社が不熱心だったら…」という不安が残ります。

複数社に依頼すれば、どこかの会社が買主を連れてくる可能性があり、担当者の質や活動量の差を分散できるという安心感もあります。

構造上、1社による囲い込みが起きにくいという点もメリットです。

好立地・高稼働・競争力の高い物件では、広く情報を出すことで価格を引き出しやすいケースもあります。

一般媒介はこうしたメリットがある一方で、収益物件の売却では特有の注意点もあります。

複数社の査定を聞き比べることで、売り出し価格の相場感を把握しやすい

一般媒介では複数の不動産会社に同時に依頼するため、各社の査定額や販売方針を比べられます

「A社は7,500万円、B社は8,200万円」という複数の意見を聞くことで、市場での適正相場を把握しやすくなります。

1社だけに任せている場合と比べて、その会社の判断が偏っていないかを確認しやすいのは大きなメリットです。

専任・専属専任は最長3ヶ月の契約期間が設けられているため、一般媒介では「成果が出なければ別の会社に変える」という選択もしやすくなります。

特定の会社に依存せず、担当者の対応が不満な場合でも別の会社でカバーできる安心感があります。

リスク:重複掲載が「売れ残り感」を生み、交渉が分散しやすい(収益物件固有)

ただし、1棟収益物件の売却では、一般媒介に固有のリスクが2つあります。

「売れ残り感」問題

複数社が同一物件を重複掲載すると、SUUMOや楽待で「なぜあちこちに出ているのか」=「売れ残っているのでは」という印象を買主に与えやすくなります。

収益物件の買主は売主の焦りを値引きの根拠にしてくる傾向があるため、重複掲載が続くほど価格交渉で不利になりやすいです。

「交渉散漫」問題

同じ購入検討者に複数社が同時にアプローチすると、「どちら経由で進めるか」が曖昧になり、商談が止まることがあります。

住宅なら影響は小さいですが、買主が限られる収益物件では一件一件の商談を丁寧に進めることが重要なので、このリスクは見落とせません。

専任媒介を選ぶとどうなる?

「専任媒介契約書」の書類の上に置かれた、タブレット端末に表示された「日本全国地価変動率(住宅地)」の折れ線グラフ

専任媒介は1社に絞って売却を依頼する方法です。

担当会社が集中して動ける環境をつくれる一方で、会社選びの重要性が高まります。

収益物件の売却では専任媒介が機能する場面が多くありますが、デメリットも合わせて整理します。

1社に集中することで、投資家ネットワークへの本格的なアプローチが生まれる

専任を受けた担当会社は、「他社に成約を奪われるリスクなし」で広告費や人員を集中できます。

一般媒介では、「自社の広告費で集めた購入検討者が他社の成約になることもある」という状況が生まれます。

そのため、有料ポータルへの掲載や投資家向けDMなどコストをかけた活動が消極的になる業者心理があります。

専任を受ければ、担当者は「この物件を必ず成約させる」という動機で動きやすくなります。

1棟収益物件では、「誰に・どのように情報を届けるか」が価格とスピードに影響します。

購入検討者向けの専門媒体への掲載、業者間ネットワークへの物件情報の提供、既存の顧客への直接アプローチなど、担当会社の販売活動の質が成否に直結します

顧客ネットワークを持つ専門会社であれば、専任を受けた物件を優先的に内部で案内できます。

「早く売りたい」と考えている方にとって、専任の構造的なメリットは大きいといえます。

専任なら「レインズ登録前の7営業日」を活かした水面下売却ができる

収益物件の売却では、「入居者に知られたくない」「売却情報を広く出したくない」という方も少なくありません。

そうした場合に有効なのが、いわゆる「水面下売却」です。

専任媒介を選び、担当会社を1社に絞ることで、「情報をどこまで出すか」の判断権を売主と担当会社が一緒にコントロールしやすくなります。

一般媒介で複数社に依頼している状態では、情報の流通を一元管理するのが難しくなります。

専任媒介を締結した後、レインズへの登録が義務化されるのは「契約翌日から7営業日以内」です。

この間、担当会社は自社の顧客に限定して物件を紹介できます。

この期間中に買主が見つかれば、レインズに登録する前に成約が可能です。

顧客ネットワークを持つ会社であれば、この期間中に買主の目処がつくケースもあります。

ただし、7営業日を超えてもレインズ未登録の状態が続くと宅建業法違反になります。

水面下売却の詳細については以下の記事で詳しく整理しています。

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リスク:囲い込みで買主が絞られ、売主が不利になる

専任媒介のデメリットとして「囲い込み」がよく取り上げられます。

専属専任媒介でも同様のリスクがあります。

「囲い込み」とは

媒介契約を結んだ不動産会社が、売主・買主の双方から仲介手数料を得る(「両手仲介」)目的で、他社からの問い合わせを意図的に断ったり、レインズの取引状況を「売主都合で一時紹介停止中」と虚偽登録して他社の買主を排除する行為です。

この問題に対し、2025年1月から法規制が強化されました。

国土交通省が宅地建物取引業法施行規則を改正し、レインズへの取引状況(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3択)の登録が義務化されています。

登録内容が事実と異なる場合は指示処分の対象となり、従わなければ業務停止処分になります。

売主がこれを確認する方法もあります。

2025年1月4日からは登録証明書に2次元コードが付くようになり、スマートフォンで売主専用画面にアクセスして取引状況をリアルタイムに確認できます。

専任を結んだ際は必ず登録証明書を受け取り、「公開中」になっているかを2週間に1回の活動報告と合わせて確認することをおすすめします。

専任・一般、どちらが合う?物件タイプと状況で分かれる判断軸

「A」と「B」と書かれた黒板に挟まれ、頭の上に赤いクエスチョンマークを浮かべて座る木製の人形。選択や比較検討のイメージ

ここまで専任・一般それぞれの特徴を整理してきました。

「では自分の物件はどちらを選ぶべきか」というのが本題です。

できるだけ具体的に答えます。

一般媒介が合いやすいのは、競争力の高い人気エリア・満室稼働の物件

収益物件であっても、一般媒介が合理的なケースがあります。

次のような物件・状況に当てはまる場合は、一般媒介も選択肢に入ります。

  • 駅近・人気エリア・高稼働(満室近い)など市場競争力が高く、複数の買い手が集まることが見込める物件
  • 売却を周囲に知られても問題がなく、広く情報を出したい方針の場合
  • 複数社への対応(連絡・内見調整・鍵管理)を自分でこなせる余裕がある場合

こうした条件が揃えば、一般媒介で複数社を競わせることで価格を引き出せる可能性があります。

ただし、これらの条件に当てはまらない場合は、次の判断軸を参考にしてください。

専任媒介が向くのは、価格帯が大きく買い手が限られる1棟収益物件全般

次のいずれかに当てはまる場合は、専任が向きます。

  • 入居者や周囲に売却を知られたくない
  • 築古・空室多い・利回り低下など、広く公開すると値崩れしやすい物件
  • 購入検討者が法人に限られる高額物件(1億円超など)
  • 水面下売却(限られた買主への優先案内)を検討している
  • 複数社への対応・連絡調整が負担になる

1棟収益物件全般で言うと、限られた購入検討者層を対象にするため、投資家ネットワークを持つ専門会社1社に集中して依頼する方が効率的なケースが多いです。

「あまり表に出さず内々で高く売りたい」という要望には、顧客ネットワークを持つ専門会社でなければ対応が難しいという実情もあります。

媒介契約の種類より「どの会社を選ぶか」が結果を左右する

専任にするか一般にするかと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「どの不動産会社に依頼するか」です。

大手不動産会社でも収益物件は専門外のことが多く、投資家ネットワークを持っていなければ一般媒介でも専任でも機能しません。

専任系を選ぶ際に確認しておきたいポイントをまとめます。

  • 収益物件の売買仲介実績があるか
  • 投資家・法人向けの買主ネットワークを持っているか
  • 水面下対応が可能か
  • レインズ登録・情報管理の方針を明確に説明してくれるか
  • 2週間に1回の活動報告の内容が具体的か(閲覧数・問い合わせ件数・内見件数など)

媒介契約の種類の選択と不動産会社の選択は、セットで考えるべき問題です。

どちらを選ぶか迷った段階からでも、専門会社に相談してみることをおすすめします。

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まとめ:媒介契約の選び方と不動産会社選び、2つをセットで判断する

この記事のポイント
  • 仲介手数料は契約種別に関係なく、法律で上限が一律
  • 一般媒介は収益物件で重複掲載による「売れ残り感」と交渉分散に注意
  • 専任媒介は担当会社の投資家ネットワークと水面下売却の活用が可能
  • 2025年1月の法改正でレインズ取引状況の登録義務化・囲い込み規制が強化
  • 媒介契約の種類選択と不動産会社選択は、常にセットで判断する

「専任か一般か」という選択は、どちらかを選べば終わりではありません。

結局のところ、誰に任せるかが結果を決めます

投資家ネットワークを持たない会社に専任を渡しても、水面下売却は動きませんし、情報管理の制約だけが強まる結果にもなります。

T-ESTATEは名古屋エリアの収益物件・事業用不動産に特化した仲介会社として、全国5,000件超の法人・投資家等の顧客ネットワークと常時接点をもっており、水面下売却にも対応しています。

どちらの媒介契約を選ぶべきか迷っている段階からでも、まずお気軽にご相談ください。

売却条件の整理や媒介契約の選び方について、具体的なご提案が可能です。

この記事を書いた人
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川口 洋平(不動産仲介事業部)

名古屋エリアを中心に、収益物件・事業用不動産(1棟アパート・1棟マンション・ビル・事業用地等)の売買仲介、貸店舗・事務所等の賃貸仲介を担当。居住用・事業用賃貸仲介から、企業不動産の売買・賃貸・管理まで幅広く経験し、物件種別や稼働状況を問わない利活用提案・課題解決を強みとする。
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