投稿日:2026.01.16 最終更新日:2026.01.23
賃貸物件の空室対策|保有・売却の判断基準を1棟収益不動産専門家が解説
賃貸物件の空室に悩んでいませんか?
管理会社に任せているが成果が出ない、または自分でできる対策を探しているが何から始めるべきか迷っている。特に、高齢化や多忙で管理が困難になり、「もう限界かもしれない」「子どもに迷惑をかけたくない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
空室対策は、あくまで「手段」であり「目的」ではありません。本当の目的は、あなたの人生設計に合った賃貸経営の形を選ぶことです。
この記事では、王道の空室対策を網羅的に解説するだけでなく、「保有を続けるか、売却するか」という判断基準を示し、あなたに合った適切な選択を見つけるサポートをします。
- 空室が発生する主な原因と診断方法
- 今すぐ実践できる空室対策(費用別・効果別・タイミング別)
- やってはいけない対策とそのリスク
- 名古屋エリアの市場動向と対策のポイント
- 売却を検討すべきケースと判断基準
株式会社T-ESTATEは、名古屋エリアで10年以上、1棟収益不動産専門として賃貸経営をサポートしてきました。この記事では、その経験から得られた実践的な知見をお伝えします。
空室が発生する主な原因を理解する

空室対策を始める前に、まず「なぜ空室が発生するのか」を理解することが重要です。原因を正しく特定しないと、効果的な対策は打てません。
このセクションでは、空室の主な原因を「物件条件」「賃貸募集・管理方法」「市場環境・競合」の3つに分類し、あなたの物件がどこに当てはまるかを診断できるようにします。
物件条件に起因する原因
物件そのものの条件が空室の原因となるケースです。
駅から遠い立地や周辺の生活環境が不便な場合、入居希望者から選ばれにくくなります。築年数が経過して外壁が汚れていたり、共用部が傷んでいると、内見前にネットで候補から外されてしまいます。
また、エアコンが無い、無料インターネットが無い、3点ユニットバス(トイレ・洗面・浴槽が一体のタイプ)等、設備が時代に合わないと入居希望者に敬遠されます。収納が少ない、内装が古いといった間取りの問題も同様です。
さらに、エリアによっては駐車場必須な場合や、築年数が経っているのに新築当時の家賃を維持していると、「割高な古い物件」と見なされてしまいます。
賃貸募集・管理方法に起因する原因
物件は良くても、賃貸募集の方法や管理に問題があると空室は埋まりません。
掲載写真が暗い・少ない、説明文・アピールポイントが簡素、間取り図がわかりにくいといった広告では、入居希望者の興味を引けません。主要な賃貸不動産ポータル(物件検索サイト)に掲載されていなかったり、古い情報のまま、管理会社のリーシング不足等で物件情報が埋もれてしまっていたり、物件の存在すら知られていない可能性もございます。
昨今、仲介手数料を減額や0円を謳う賃貸不動産仲介会社も出てきており、入居希望者から仲介手数料をいただけないケースもあり、エリアによっては、広告宣伝費料(入居者を決めた賃貸不動産仲介会社への報酬)を高めに設定していないと、賃貸不動産仲介会社は他の物件を優先して紹介される傾向にございます。
また、外壁・鉄部の塗装が著しく劣化している、共用部の清掃が行き届いていない、入居者からの問い合わせ対応が遅いといった管理の問題も、空室の原因になります。
市場環境・競合に起因する原因
物件条件も賃貸募集方法も問題ないのに空室になる場合、市場環境が原因かもしれません。
周辺に新築物件が増えると、供給過多で築古物件は不利になります。特に名古屋市中心部では新築マンションが多く建設されており、小規模な1棟物件は競争が厳しい状況です。
また、名古屋市は持ち家率が62.6%と全国トップクラスで、「結婚したら家を建てる」文化が根強いため、30代以降は賃貸から持ち家へ流れやすいという特徴があります。
そのため、賃貸市場は単身者・学生・転勤族が中心となり、年度末の繁忙期を逃すと半年以上も空室が続くケースもございます。
今すぐ実践できる空室対策

まず、費用をかけずに、または低コストで今すぐ実践できる対策から始めましょう。賃貸募集方法の見直し、家賃・費用の条件調整、物件の印象改善は、空室対策の基本中の基本です。これらを実施することで、空室解消につながる可能性があります。
【Step1】賃貸募集方法を見直す
賃貸募集方法の見直しが効果的な理由は、広告の質と露出が入居希望者の目に留まる第一歩だからです。
物件写真・情報の改善
薄暗い写真やピンぼけ写真では魅力が半減します。昼間に全室の照明をつけ、カーテンを開けて明るく撮影しましょう。
物件情報には「○○駅徒歩圏、スーパー徒歩5分」「南向き日当たり良好」など、入居者希望者が惹かれるポイントを盛り込みます。間取り図はカラーで清書し直し、家具の配置例を載せると興味を引きます。
効果が出るまでの期間は1~2週間程度です。
賃貸不動産ポータルサイト・不動産仲介業者との連携強化
主要な賃貸不動産ポータルサイト(物件検索サイト)への掲載は基本中の基本です。写真や情報が古いまま放置されていないか確認し、定期的に更新して「新着」扱いにしましょう。
広告宣伝費料(入居者を決めた賃貸不動産仲介会社への報酬)を設定・増額することで、賃貸不動産仲介会社の動きを促す方法もあります。
広告宣伝費料は家賃の1~2ヶ月分程度が相場です。長期空室の場合、相場以上の広告宣伝費料を提示して早期成約に繋げる必要もございます。
【Step2】家賃・費用条件を調整する
家賃・費用条件の調整が有効な理由は、入居者の心理的・経済的ハードルを下げることができるからです。
適正価格の見極めと家賃設定
ポータルサイトで同じエリア・間取り・築年数帯の物件の募集価格を複数確認しましょう。管理会社や不動産業者にヒアリングして、プロの目から見た適正価格を確認するのも有効です。
家賃を一度下げると元に戻すことは難しく、利回りが下がり収益性が悪化します。また、賃料下落は物件の資産価値(売却評価額)の下落にも直結します。
家賃値下げは最後の手段と考え、まずはフリーレントや初期費用の見直しを検討しましょう。
フリーレント・敷金礼金ゼロの活用
「フリーレント」は契約開始後の一定期間、家賃を無料にする制度です。一般的に1~2ヶ月程度無料にします。
家賃自体を恒常的に下げるわけではないので、資産価値を維持したまま「お得感」を演出できる有効な空室対策です。
また、敷金・礼金をゼロにすることで初期費用を抑え、入居者のハードルを下げる方法も有効です。「礼金なし」は入居者に非常に喜ばれるポイントです。
【Step3】物件の印象を改善する
物件の印象改善が有効な理由は、第一印象で入居者の心を掴むことができるからです。
清掃・外観整備
共用部(エントランス、廊下、ゴミ置き場)の定期清掃を徹底しましょう。共用部の日常清掃は、手軽で重要な空室改善策です。
電球切れやサビなど細かな部分のメンテナンスも重要です。虫の死骸や埃が目立つ建物、「廊下にクモの巣が張っている」「ゴミ置き場が臭い」といった状態は、入居希望者から敬遠されます。
外観の植栽の手入れやペンキ塗り替えも、印象を大きく変える効果があります。
内見前の準備
内見前に室内を徹底的に清掃してください。換気・照明で明るく清潔な印象を演出しましょう。
カーテンや家具を配置して「生活イメージ」を持たせるホームステージング(モデルルームのように演出する方法)も効果的です。
内見予約が入ったらスムーズに案内できるよう、鍵の手配(キーボックス設置など)や現地案内図の用意を行い、「いつでも案内できます」状態を整えておくことが大事です。
【要注意】やってはいけない空室対策とそのリスク
安易な家賃値下げは、家賃を一度下げると元に戻すことは難しく、収益悪化につながります。
既存入居者から不満が出る可能性もあり、物件価値の下落にも直結するリスクがあるため、家賃値下げは最後の手段と考え、まずはフリーレントや初期費用の見直しを試しましょう。
過度なリフォームは、費用をかけすぎたリフォームは回収できないリスクがあり、投資回収期間が長期化すると、キャッシュフロー(手元に残る現金)が悪化する可能性もあるため、必要最小限の改修を検討してください。
サブリース契約の安易な選択は、家賃保証の裏にデメリットもあり、契約解除が難しかったり、中途解約時にリスクが生じることもあるため、管理会社の見直しを検討しましょう。
設備投資・リフォームで進める空室対策
基本的な対策を実施しても効果が出ない場合、設備投資やリフォームを検討しましょう。
費用はかかりますが、物件の魅力を大きく高め、空室解消だけでなく、長期的な資産価値の維持にもつながります。ただし、費用対効果を慎重に見極めることが重要です。
効果的な設備投資を選ぶ
人気の高い設備として、無料インターネット・Wi-Fi、宅配ボックス、防犯カメラ・モニター付きインターホン、温水洗浄便座などが挙げられます。
特に無料インターネットは、もはや必須条件と言われるほど重要で、導入していない物件は大きく不利になります。宅配ボックスは単身者・共働き世帯に人気が高く、防犯カメラはセキュリティ意識の高い入居者に訴求力があります。
投資額を何年で回収できるかを計算し、費用対効果を見極めることが重要です。
リフォーム・リノベーションで費用対効果を高める
築年数が古い、設備が古い、競合物件に見劣りする場合に有効です。
3点ユニットバスの分離(トイレ・洗面・浴槽を別々に分ける工事)、壁紙・床の張り替え、キッチン・浴室の改装などが効果的です。
投資額を何年で回収できるかを計算しましょう。例えば、100万円の投資で月1万円の家賃アップが実現できれば、約8年で回収できる計算です。
費用をかけるべきか迷っている方は、専門家に相談して判断しましょう。
入居者層を広げる対策
物件や募集方法を改善しても空室が埋まらない場合、入居者層を広げる対策が有効です。
管理会社との連携を強化し、入居者を見つける力を高めることも重要です。
入居条件を緩和する(ペット可・高齢者歓迎など)
入居条件の緩和が有効な理由は、入居を検討する方の裾野を広げることができるからです。
ペット可、楽器可、外国籍歓迎、高齢者歓迎、ルームシェア可などの緩和策が考えられます。
ペット可の場合は原状回復費用の取り決めが必要になり、高齢者歓迎の場合は孤独死リスクへの対策が必要です。契約書で条件を明示し、保証金を高めに設定するなど、トラブル対策を事前に講じることが大切です。
慎重に判断して実施しましょう。
管理会社と連携・見直しをする
管理会社は入居者を見つける力、内見対応、清掃など、空室対策の要となります。
空室期間が長い、対応が遅い、提案がない場合は見直しを検討しましょう。
入居者を見つける力が高い管理会社の特徴は、複数のポータルサイト(物件検索サイト)に掲載し、仲介業者との関係が強い会社です。
ただし、管理会社の変更がすべての解決策ではないため、バランスの取れた視点で判断することが重要です。
長期的に安定経営を続けるための対策

空室を埋めることも重要ですが、長期的に安定した賃貸経営を続けるためには、既存入居者との関係構築や退去防止策も欠かせません。また、名古屋エリアの市場動向を理解し、地域に合った対策を実施することも重要です。
既存入居者との関係を構築し退去を防止する
退去防止が重要な理由は、退去が発生すると空室リスクが再発するからです。
具体的な退去防止策として、入居者との良好なコミュニケーション、クレームへの迅速対応、家賃アップを控えめに、更新時の特典提供などが効果的です。
定期的にアンケートを実施し、入居者の声を聞くことで、改善点を発見できます。入居者の満足度を把握することで、退去を未然に防ぐことができます。
名古屋・愛知エリアの市場動向を把握する
名古屋エリアの空室率データは、総務省「住宅・土地統計調査」等の公的統計を参考にしましょう。
地域特有の賃料相場と物件タイプ別の需要は、名古屋エリアごとに異なります。
名古屋エリアは車社会の色が強く、駐車場需要が高い傾向があります。
1棟アパート・マンションでも駐車場の有無が入居率に影響します。(1棟アパート・マンション、ビル、事業用地等駐車場の収益物件・事業用不動産全般の市場動向を把握し、T-ESTATEの経験に基づく名古屋エリア特有の傾向や注意点を理解し、地域に合った対策のポイントを対策に活かしてください。
それでも対策が難しい場合:売却という選択肢
ここまで、様々な空室対策をご紹介してきました。
しかし、「管理の負担が大きすぎる」「高齢化で続けるのが難しい」「子どもに迷惑をかけたくない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。そのような場合、売却も選択肢の一つです。
空室対策は「手段」であり、「目的」ではありません。あなたの人生設計に合った選択をすることが、本当の目的です。
売却を検討すべきケース
以下のような状況では、売却を検討する価値があります。
管理の負担が大きすぎる場合、高齢化で物件管理が困難、本業が多忙で時間を割けない、遠方に住んでいて管理が難しいといった状況では、無理に保有を続けるよりも売却を検討する方が賢明な場合があります。
空室対策の費用が収益を圧迫している場合、リフォーム費用が回収できない、空室期間が長く赤字続きという状況では、売却して資金を別の用途に活用する方が合理的な選択となることもあります。
相続を控えている場合、早めに資産を整理したい、子どもに物件管理の負担をかけたくない、相続税の納税資金を確保したいといった理由で、売却を選択される方もいらっしゃいます。
物件の老朽化が進んでいる場合、大規模修繕が必要だが費用を捻出できない、修繕しても入居者が見込めないという状況では、売却を検討する時期かもしれません。
1棟アパート・マンション経営が赤字に…今すぐできる対策と売却すべきタイミング
毎月の通帳を見るたび、残高が減っていく。家賃収入だけではローンや経費を賄えず、貯金から毎月数万円を補填する日々が続いている。 「このまま持ち出しが続けば、いずれ資金が尽きてしまう」 1棟アパート・マンションを経営されているオーナー様の中には、そんな不安を抱えながら踏ん張っている方も少なくありませ
専門家に相談してより良い道を選ぶ
専門家に相談することで、客観的な視点からのアドバイスを得られます。
株式会社T-ESTATEは、名古屋エリアで十数年の実績を持ち、全国5,000件超の法人・投資家様等の顧客ネットワーク、適正価格査定、柔軟な提案力を備えています。収益物件・事業用不動産仲介の知見を活かし、「空室対策を続けるべきか、売却すべきか」という意思決定をサポートします。
どちらを選んでも、専門家に相談すればより良い道が開けます。
一人で悩まず、まずは気軽にご相談ください。
まとめ:空室対策は手段、あなたの人生に合った選択を
空室対策には、賃貸募集方法の見直し、家賃調整、設備投資、入居条件の緩和など、様々な方法がございます。
しかし、重要なのは、「あなたの人生設計に合った選択をすること」です。
- 空室の原因は「物件条件」「賃貸募集」「市場環境」の3つ
- まずは費用ゼロの対策(写真改善・清掃)から始める
- 家賃値下げは最後の手段、広告宣伝費・フリーレントを優先
- 設備投資は費用対効果を慎重に見極める
- 負担が大きい場合は売却も選択肢
空室対策は「手段」であり、「目的」ではありません。保有を続けるのか、売却するのか、どちらを選んでも、それがあなたの人生に合った選択であれば、それが正解です。
1人で悩まず、専門家に相談してみませんか?株式会社T-ESTATEは、名古屋エリアで十数年、収益物件・事業用不動産仲介に特化し、賃貸経営をサポートしてきました。空室対策から売却まで、あなたの状況に合わせた適切な提案をします。まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
佐々木 英人(不動産仲介事業部 営業)
名古屋エリアを中心に、収益物件・事業用不動産(1棟アパート・1棟マンション・ビル・事業用地など)の売買仲介と、貸店舗・事務所など事業用不動産の賃貸仲介を担当。賃料10万円規模の賃貸から10億円超の売買まで幅広い仲介実績を持ち、不動産管理の経験も踏まえた多角的な提案を強みとする。物件状況やご意向に応じて、出口戦略まで見据えた利益最大化の提案を行う。
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