投稿日:2026.01.16 最終更新日:2026.01.16
賃貸物件の空室率とは?正しい計算・判断・改善・売却を専門家が解説
自分が所有する一1棟アパート・マンションの空室率を見て、「これは高すぎるのでは?」と不安を感じていませんか?
高齢化で物件の管理が負担になってきた、健康上の理由で今後も続けられるか不安、子どもに迷惑をかけたくない……。
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
実は、空室率はコントロールできます。しかし、「全国平均20%だから大丈夫」という思い込みは危険です。平均値はあくまで参考。自分の物件が立地するエリアや築年数、物件種別によって、適正な空室率は大きく変わります。
たとえば、名古屋都心部の築10年マンションと郊外の築30年アパートでは、同じ空室率でも意味が全く異なります。都心部で20%なら「要改善」ですが、郊外なら「エリア平均並み」かもしれません。つまり、全国平均と比べて安心するのではなく、「自分の物件固有の判断基準」が必要なのです。
この記事では、名古屋エリアの収益物件・事業用不動産に特化したT-ESTATEが、空室率の基礎知識から「平均値の罠」への気づき、名古屋エリアの実態、改善策、状況別の行動指針まで、実務経験に基づいて解説します。
- 空室率の正しい計算方法と判断基準
- 空室率が収益に与える影響(試算例)
- 空室率別の具体的な改善策
- 改善が難しい場合の売却という選択肢
T-ESTATEは、名古屋エリアで事業用不動産の仲介に特化し、栄・伏見・丸の内・名駅など都心エリアの賃料相場、空室動向も把握しています。空室対策から売却まで、実務経験に基づいてサポートいたします。
空室率とは?計算方法と空き家率との違い

空室率を改善するには、まず「空室率とは何か」を正しく理解することが大切です。このセクションでは、空室率の定義、3種類の計算方法、そして混同されやすい「空き家率」との違いを解説します。
空室率の定義
空室率とは、賃貸物件の総戸数に対して空室が占める割合を示す指標です。
賃貸経営における重要な健全性指標であり、収益性に直結します。オーナーが物件の稼働状況を把握し、経営判断をする際の基準となるものです。
例えば、全10戸のマンションで2戸が空室なら、空室率は20%となります。
空き家率との違い
空室率は賃貸物件における一時的な空室の割合で、改善できる数値です。
空き家率は居住目的のない住宅全体の割合を示す社会問題としての指標で、総務省の「住宅・土地統計調査」で発表される数値です。
この記事で扱うのは「空室率」です。
空室率の3種類の計算方法
空室率の計算方法には3つの種類があり、それぞれ目的に応じて使い分けることが重要です。
時点空室率
基本的で使いやすい計算方法です。「今この瞬間、何部屋が空いているか」をシンプルに数えるだけなので、誰でも簡単に計算できます。
特定の時点での空室数を総戸数で割って算出します。
計算式:(空室戸数 ÷ 総戸数)× 100
30戸のアパートで6戸が空室なら20%です。毎月末に記録すれば、季節による変動や年間トレンドも把握できます。
期間稼働率ベース
時点空室率では見えない「空室の期間」を正確に把握できる計算方法です。例えば、3月末は満室でも4月に5部屋が1ヶ月空いていた場合、時点空室率では0%ですが、実際には収益に影響が出ています。この「見えない損失」を数値化できるのが期間稼働率ベースです。
一定期間の空室日数を基に計算します。
計算式:(空室日数 ÷ 全体の貸出可能日数)× 100
30戸のアパートで年間の空室延べ日数が2,190日なら20%です。入退去が多い物件では、時点空室率より実態を反映します。
賃料ベース空室率
「部屋数」ではなく「金額」で空室の影響を測る方法です。なぜこの計算が必要かというと、同じ2部屋の空室でも、家賃3万円の部屋と10万円の部屋では収益への影響が全く異なるからです。高い家賃の部屋が空いている場合の深刻さを、正確に把握できます。
満室時の想定賃料に対する実際の賃料収入の割合から算出します。
計算式:(満室時想定賃料 – 実際の賃料収入)÷ 満室時想定賃料 × 100
満室時月額賃料150万円、実際の収入120万円なら20%です。収益へのインパクトを正確に把握できる方法です。
空室率の全国平均と理想の目安は?
空室率を計算できたら、次は「その数字が高いのか低いのか」を判断する基準が必要です。ここでは全国平均と理想の空室率、そして平均値を見る際の重要な注意点を解説します。
全国平均は約14%だが地域差が大きい
総務省「住宅・土地統計調査(令和5年)」によると、全国の総住宅数に対する空き家率は13.8%です。
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
ただし、この数字は全ての住宅を含んでおり、賃貸物件の空室率とは計算方法が異なります。また、地域や物件タイプによって大きな差があります。
都市部は全国平均より低めの傾向があり、郊外エリアは都心部より高めです。駅距離や周辺環境によっても差が大きくなります。
理想は5~10%、20%超なら早急な対策を
空室率5~10%が理想的です。この範囲なら、入退去の一時的な空室を考慮しても安定した収益を確保できます。
空室率の目安
- 5%未満: 優良
- 10~15%: 改善余地あり
- 20%超: 早急な対策が必要
【要注意】「全国平均だから安心」は危険な思い込み
全国平均は、地域・物件種別・築年数などを全て混ぜた平均値にすぎません
都心部の一棟マンションと郊外の物件では、適正な空室率は大きく異なります。同じ空室率でも、都心部なら「高め」、郊外なら「エリア平均並み」と判断が変わるのです。
大切なのは、自分の物件が立地するエリアの相場との比較と、「もっと改善できる余地はないか?」と考える姿勢です。
空室率が収益に与える影響と高くなる原因
空室率が高いと、実際にどれだけ収益に影響するのでしょうか?このセクションでは具体的な試算例と、空室率が高くなる主な原因を解説します。
空室率10%で年間約180万円の機会損失
30戸のアパート、1戸あたり月額5万円、満室時の年間賃料収入1,800万円の試算例です。
空室率10%とは、30戸のうち3戸が常に空いている状態です。20%なら6戸、30%なら9戸が空いていることになります。
空室率別の収益影響
- 空室率10%: 年間約180万円の機会損失
- 空室率20%: 年間約360万円の機会損失
- 空室率30%: 年間約540万円の機会損失
10年間続いた場合、空室率10%で約1,800万円、20%で約3,600万円の累積損失となる可能性があります。
空室率10%改善で年間約180万円の増収が見込めます。例えば50万円のリフォームで空室率10%改善できれば、約3年で投資回収できる計算です。
空室率が高くなる5つの原因
1. 家賃が周辺相場とズレている
多くの場合、原因は「家賃が高すぎる」ことです。入居希望者は複数の物件を比較検討するため、周辺より割高だと選ばれません。
逆に「安すぎる」場合も、「何か問題があるのでは?」と不安を与え、質の良い入居者が避ける傾向があります。
周辺の類似物件と比較し、適正価格で入居者の質を確保することが大切です。定期的な賃料相場のチェック(年1回程度)をお勧めします。
2. 物件の老朽化・設備の不足
入居希望者は「新しくて快適な物件」を求めます。外観や内装が劣化していると第一印象で敬遠され、内見にすら来てもらえません。
また、ネット無料、宅配ボックス、オートロックなど、今や「あって当たり前」の設備がないと、競合物件に見劣りします。エアコンや給湯器などの基本設備が古いと、入居後のトラブルを懸念されます。
周辺の新築・築浅物件と自分の物件の設備を比較してみましょう。
3. 立地条件の問題
駅から遠い、生活施設が少ないという立地は、入居者の日常生活の不便さに直結します。特に単身者や共働き世帯は利便性を重視するため、駅徒歩10分超の物件は候補から外されがちです。
治安や騒音の問題も、安心して暮らせる環境を求める入居者にとって大きなマイナス要因です。
立地は変えられませんが、ターゲット層の見直しで対応できます。例えば、駅近を求める単身者ではなく、車利用のファミリー層に訴求するなど。
4. 管理体制の不備
共用部分が汚れている物件は「管理が行き届いていない」印象を与え、内見時の印象が悪くなります。また、設備故障への対応が遅いと、入居者の不満が蓄積し退去の原因になります。
入居者は「何かあった時にすぐ対応してくれるか」を重視するため、管理体制の良し悪しが入居継続率に直結します。
管理会社の対応が悪い、または自主管理の限界を感じている場合も要注意です。入居者からの要望・クレームの内容と対応スピードを確認してみましょう。
5. 募集方法の問題
入居希望者の多くはインターネットで物件を探します。主要ポータルサイトに掲載されていない、写真が少ない、説明が不十分だと、そもそも候補に入りません。
また、内見の予約が平日のみ、時間制限が厳しいと、働いている人は内見できず機会損失になります。仲介会社へのインセンティブ(広告宣伝費料)が不足していると、営業担当者が積極的に紹介してくれない場合もあります。
自分の物件が主要ポータルサイトに掲載されているか確認してみましょう。
空室率を改善する方法

原因が特定できたら、次は対策です。このセクションでは、あなたの空室率に応じた具体的な対策の方向性を解説します。
空室率5~10%:現状維持で優良状態をキープ
現状は良好な状態です。この状態を維持するため、以下の点を継続しましょう。
定期的な設備点検(年1回)を行い、故障の予兆を早期発見します。賃料相場の確認(年1回)で、周辺と比較して適正価格を維持できているか確認しましょう。
入居者とのコミュニケーションを大切にし、小さな不満が退去につながる前に対処することが重要です。
空室率10~20%:費用をかけずに改善
改善の余地がある状態です。まずは費用がかからない対策から始めましょう。
家賃設定の見直しでは、周辺の類似物件と比較し、5,000~1万円高い場合は検討が必要です。募集方法の改善では、主要ポータルサイトへの掲載、写真の追加・更新、物件説明文の充実を図りましょう。
一定期間実施して効果が薄ければ、設備改善(ネット無料化、宅配ボックス設置など)やリフォーム(クロス・床の張替え)を検討します。
空室率20~30%:設備投資で競争力を高める
早急な対策が必要な状態です。複数の対策を同時並行で進めましょう。
家賃見直しと募集強化に加えて、設備改善(ネット無料化、宅配ボックス、オートロックなど)への投資を検討します。1部屋あたり30~50万円のリフォームで、空室率10%改善できれば年間約180万円の増収(30戸・月5万円の場合)が見込めます。
状況によっては管理会社の変更も検討しましょう。管理会社を変えるだけで、募集力が向上し空室率が改善するケースもあります。
空室率30%超:売却も視野に入れた判断を
抜本的な見直しが必要な状態です。全対策を総合的に進める必要がありますが、投資額が大きくなる前に専門家に相談することをお勧めします。
大規模リフォームや設備投資を検討する際は、投資回収に必要な期間を試算しましょう。長期間の回収が見込まれる場合や、改善が難しい立地条件の場合は、売却も選択肢として検討すべきです。
どの対策を実行する場合も、定期的に空室率を確認し、改善が見られない場合は次の対策へ移行しましょう。
改善が難しい場合は売却も選択肢
これまで空室率改善の対策を解説してきましたが、実際には改善が難しいケースもあります。そのような場合、売却という選択が最善の決断となることがあります。
「対策を打っても効果が出ない」「高齢化で管理が限界」「子どもに相続させても負担になる」という状況では、売却が最善の決断となることがあります。
売却を検討すべき4つの状況
以下のような状況に該当する場合は、売却を検討する価値があります。
- 空室率改善の見込みが立たない
- 年齢・健康面で管理継続が難しい
- 相続前に資産を整理したい
- 収支改善に多額の投資が必要だが回収が困難
自分の状況に当てはまるものがないか確認してみましょう。
1. 空室率改善の見込みが立たない
高い空室率が長期間続き、複数の対策を打っても改善の兆しが見えない場合は要注意です。家賃見直し、募集強化、設備投資など様々な対策を実施しても効果が出ないなら、物件の立地や条件に根本的な問題がある可能性があります。
複数の対策を一定期間実施しても効果が出ない時点で、専門家に相談しましょう。
「あと何年、この状態で持ち続けられるか」を試算し、毎月の持ち出しが続く場合、早めの売却が合理的な選択となる可能性があります。空室率が更に悪化する前の段階での売却が、査定額の観点からもおすすめです。
2. 年齢・健康面で管理継続が難しい
高齢化により物件の見回りや入居者対応が物理的に困難、健康上の理由で管理業務に不安がある、遠方居住で緊急時の対応ができない、夜間のトラブル対応が精神的に限界という状況もあるでしょう。
「今後5年間、この物件を管理し続けられるか」を自問し、困難だと感じた時点で検討しましょう。年齢や健康状態を考慮した早めの判断が大切です。
管理会社への委託も選択肢ですが、委託料を含めた収支が赤字になる場合は、売却して精神的・身体的負担から解放される方が賢明な場合があります。
3. 相続前に資産を整理したい
子どもが賃貸経営を継ぐ意思や知識がない、空室率が高い物件を相続させると子どもの負担になる、相続時のトラブル(兄弟間での分割、共有名義の問題)を回避したいという場合は、生前整理を検討しましょう。
相続が発生する前に、元気なうちに自分で判断し、現金化しておくことで、相続時の負担を大きく軽減できます。
物件を相続させた場合と、現金で相続させた場合を比較してみてください。空室率が高い物件は相続後も管理負担が続くため、現金化の方が子どもにとって有益なケースが多くあります。
4. 収支改善に多額の投資が必要だが回収が困難
築年数が経過して大規模修繕(外壁、屋根、配管など)に数百万円以上が必要、設備の全面更新やリノベーションに多額の費用がかかる、長期的な投資回収が見込まれる場合は要注意です。
大規模修繕や設備投資の必要が生じる前に売却する方が合理的な場合があります。
必要な投資額と、投資後の収益改善見込みを試算し、年齢を考慮して「投資回収できる年数があるか」を冷静に判断しましょう。回収前に相続が発生するリスクも考慮すべきです。
売却方法は仲介か買取か?あなたに合った選び方
売却を決断した場合、次に考えるべきは「どのような方法で売却するか」です。主に「仲介」と「買取」の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
仲介での売却
不動産会社に依頼し、買主を探してもらう方法です。一般的な売却方法で、多くの人が利用しています。
不動産会社が広告を出し、内見希望者を案内してくれます。複数の買主候補が現れるため、価格交渉の余地もあります。市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いのが大きなメリットです。
ただし、売却まで3~6ヶ月かかります。内見対応や価格交渉が必要で、希望する価格で売れる保証はありません。
時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい方に向いています。物件の条件が比較的良い(立地、築年数など)場合も、仲介がおすすめです。
買取での売却
不動産会社が直接買い取る方法です。不動産会社が買主となるため、仲介を通さずスピーディーに売却できます。
早期売却が可能(1週間~1ヶ月程度)で、内見対応や条件交渉が不要です。売却の可能性が高く、周囲に知られずに売却できるのもメリットです。
売却価格は市場価格の70~80%程度になる場合が多くあります。これは、不動産会社が買い取った後にリフォームして再販するため、その費用やリスクを差し引いた価格になるためです。
早急に現金化したい、手間をかけたくない、空室率が高く仲介では売れにくい、相続前に急いで整理したい方に向いています。
併用も選択肢
まず仲介で3ヶ月程度売却活動をし、売れなければ買取に切り替える方法もあります。
空室率が高い物件でも、投資家にとっては割安で購入でき、改善の余地がある魅力的な物件です。名古屋エリアは賃貸需要が底堅く、買主が見つかるケースが多くあります。
迷ったら、売却の相談は専門家に

T-ESTATEは、名古屋エリアの収益物件・事業用不動産仲介に特化し、全国5,000件超の法人・投資家様等の顧客ネットワークを保有しています。空室率が高い物件を改善前提で購入検討者と直接マッチング可能です。
「改善して保有」と「売却」の両方のシミュレーションを提示し、あなたの状況に合った最善の選択を一緒に考えます。
売却することで、管理の負担から解放され、精神的な余裕を取り戻せます。現金化することで、他の資産運用や生活資金に活用でき、子どもに負担をかけず円満な相続準備ができるというメリットもあります。
まとめ:空室率はコントロールできる
この記事では、空室率の基礎知識から計算方法、改善策、そして売却判断まで解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
- 空室率の計算方法は3種類あり、目的に応じて使い分ける
- 全国平均を鵜呑みにせず、自分のエリアと比較する
- 空室率10%で年間約180万円の機会損失が発生する
- 改善策は空室率の段階に応じて優先順位をつける
- 改善が難しい場合は売却も前向きな選択肢
空室率は、正しい知識と行動でコントロールできます。大切なのは、自分のエリアの相場と比較し、「もっと改善できる余地はないか?」と考え続ける姿勢です。
まずは今日、自分の物件の空室率を正確に計算してみましょう。そして空室率別の対策で、自分のステージを確認してください。空室率10%以上なら、今すぐできる対策から始めましょう。
T-ESTATEでは、名古屋エリアの収益物件・事業用不動産仲介に特化した不動産会社として、空室対策から売却まで、あなたの状況に合った最適な提案をいたします。
この記事を書いた人
松下 秀二郎(不動産仲介事業部 営業)
「売りたい」「買いたい」それぞれのゴールを一緒に整理し、名古屋エリアの収益物件・事業用不動産仲介で最適な進め方を提案。物件の特徴と市況、購入検討者や融資の見立てまで踏まえて説明することで、納得感ある取引と早期成約を目指している。全国5,000件超のネットワークを活かし、非公開物件でもスムーズにマッチングする。
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