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デッドクロスとは?不動産投資で黒字倒産を招く仕組みと1棟マンションの対策4選

1棟アパートやマンションを保有していると、帳簿上は黒字なのに手元にお金が残らない。

税金だけが増えていく。

そんな状況に不安を感じたことはないでしょうか。

これは「デッドクロス」と呼ばれる現象が関係しています。

ローンの元金返済額が減価償却費を上回ることで、税負担が増加し、手元資金が圧迫される状態です。

デッドクロスは確かに資金繰りに影響を与えますが、「絶対悪」ではありません。

仕組みを理解すれば発生時期を予測でき、繰上返済や借換え、物件入替といった対策を取ることができます。

この記事では、デッドクロスの仕組み、発生原因、発生時期の予測方法、具体的な対策を解説します。

この記事でわかること
  • デッドクロスの定義と帳簿利益と手元資金がズレる仕組み
  • 発生する3つの原因
  • 構造別の耐用年数とシミュレーションによる発生時期の予測方法
  • 保有中の対策4つ
  • 購入時点からできる回避設計

T-ESTATEは、名古屋エリアで収益物件・事業用不動産に特化した不動産会社です。

10年以上の仲介実績をもとに、収益物件の売買や賃貸経営のサポートを行っています。

デッドクロスとは何か?帳簿上は黒字でも手元資金が減る仕組み

デッドクロスとは、帳簿上は黒字でも手元資金が減っていく現象です。

このセクションでは定義を明確にし、なぜそのような状態になるのかの仕組みを解説します。

元金返済が減価償却費を超えると税負担が増える

デッドクロスとは、「ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態」のことです。

つまり、節税に使えない支出である元金返済が、節税に使える経費である減価償却費を上回っている状態です。

この状態になると、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、その利益に対して課される所得税額が増えることで資金繰りが悪化します。

たとえ税引き前のキャッシュフローに変化がなくても、帳簿上の黒字は大きくなって所得税額が増えるため、税引き後の手元に残るお金は少なくなってしまうのです。

「税引き前キャッシュフロー < 税金」である場合、税引き後キャッシュフローはマイナスとなります。

これは不動産経営での収支が赤字という状態です。

この状態が続くと最悪の場合、ローン返済や税金を払えなくなって破綻してしまうこともあります。

これが、帳簿上は利益が出ているのに現金が不足してしまう「黒字倒産」です。

デッドクロスの状態が長く続くと、税金の支払いが追いつかず、最悪の場合には黒字倒産してしまう可能性もあるため、注意が必要です。

「デットクロス」は誤表記

「デットクロス」という表記を使っているケースも見かけますが、これは誤りです。正しくは「デッドクロス」です。

なお、FXや株の世界で使われる「デッドクロス(dead cross=死の交差)」とは別の意味で、不動産文脈では「ローンの元金返済が減価償却費を上回る状態」を指します。

減価償却と元金返済の「逆転」がズレを生む

デッドクロスを理解するには、帳簿上の利益と手元資金(キャッシュフロー)が一致しない理由を知ることが欠かせません。

その理由は、「減価償却費」と「ローンの元金返済」という2つの項目の特性にあります。

減価償却費の特性:現金支出なしで経費計上できる

まず、減価償却について簡潔に説明します。

不動産などの固定資産は、時間の経過によって価値が減少していきます。

そのため、購入時に全額を費用計上するのではなく、一定年数(耐用年数に基づいて算出)に分けて毎年費用として計上します。

この費用計上の方法を、減価償却といいます。

なお、不動産のうち建物は減価償却しますが、土地は減価償却しません。

土地は経年で価値が下がらないためです。

減価償却費は、不動産の購入費用を取得時に一括で計上せず、使用する期間にわたって計上していく経費です。

減価償却費はキャッシュアウトを伴わないものの、帳簿上は経費として計上されます。

つまり、実際に手元のお金を減らすことなく、帳簿上は利益を圧縮できるのです。

これによって、帳簿上の利益に課税される所得税額を減らすのが、不動産投資における減価償却を利用した節税の仕組みです。

ローンの元金返済の特性:現金支出はあるが経費にならない

一方、ローン返済には「元金(借りたお金)」と「利息」があります。

ローン返済は実際にキャッシュアウト(現金の支出)するものの、元金については帳簿上、必要経費として計上できません。

元金返済額が経費にならないのは、利益ではなくお金の貸し借り分だからです。

ただし、利息は経費として計上できます。

キャッシュフローと課税所得の計算式を比較すると、以下のようになります。

  • キャッシュフロー(CF)= 収入 – 経費 – 元金返済 – 利息返済
  • 課税所得 = 収入 – 経費 – 利息返済 – 減価償却費

2つの項目の違いをまとめると、次のとおりです。

  • 元金返済:実際にお金は出ていくが、経費にならない(課税所得を減らせない)
  • 減価償却費:実際にお金は出ていかないが、経費になる(課税所得を減らせる)

この差が要因でデッドクロスが発生すると、収入・支出は変わらないのに、税金支払いが増加して、税引き後キャッシュフローに影響を与えるのです。

なぜデッドクロスが発生するのか?3つの原因

デッドクロスが発生する背景には3つの原因があります。

減価償却費の減少、ローン利息部分の減少、そして返済方式の違いです。

それぞれの原因を具体的に見ていきましょう。

減価償却が終了すると経費計上できなくなる

1つ目の原因が、減価償却の終了です。

減価償却期間を過ぎれば経費計上できなくなります。

実際の不動産収入に変化がなくても、それまで経費として計上できた分がなくなるため、帳簿上の利益は大きくなります。

これにより、帳簿上の利益に課税される所得税額は増えるため、キャッシュフローが悪化するのです。

ローン返済が進むと利息部分が減り税負担が増える

2つ目の原因が、利息の減少です。

ローン返済には、「元金(借りたお金)」と「利息」があります。

利息は経費にできるため、帳簿上の利益を圧縮し、節税効果があります。

しかし、年々利息の支払いは減っていくため、帳簿上の黒字が大きくなり、所得税が増えてキャッシュフローが悪化します。

ローンの残高が減ると利息の支払額も減少し、経費計上できる金額が減るためです。

元利均等返済は後半ほど元金の比率が高くなる

3つ目の原因が、返済方式の違いです。

ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。元利均等返済は毎月の返済額が一定で、返済計画が立てやすいため、収益物件のローンでは多くのオーナーが選ぶ方式です。

ただし、元利均等返済では返済当初は利息の割合が高く、返済が進むにつれて元金の割合が増えていきます。つまり、後半になるほど「経費にならない元金返済」が増えていくため、デッドクロスが起こりやすくなります

一方、元金均等返済は毎月の元金返済額が一定のため、元利均等返済よりもデッドクロスの到来を遅らせる効果があります。ただし、初期の返済額が大きく資金繰りが厳しくなるデメリットもあるため、デッドクロス対策のためだけに元金均等返済を選ぶのは慎重な判断が必要です。

返済方式 特徴 メリット デメリット
元利均等返済 毎月の返済額が一定 返済計画が立てやすい、初期の負担が少ない 元金の減少が遅い、デッドクロスに至りやすい
元金均等返済 毎月の元金返済額が一定 総返済額が少ない、デッドクロスを遅らせられる 初期の返済額が大きい、資金繰りが厳しくなる

いつデッドクロスが発生するのか?耐用年数とシミュレーションで予測する

デッドクロスの発生時期は、物件の構造(耐用年数)とローンの返済条件によって決まります。

構造別の耐用年数と中古物件の簡便法

デッドクロスの発生時期は、建物の構造によって異なります。主な構造の法定耐用年数は以下の通りです。

構造 法廷耐用年数
木造 22年
鉄骨造(軽量鉄骨、骨格材厚≦3mm) 19年
鉄骨造(3mm<骨格材厚≦4mm) 27年
鉄骨造(重量鉄骨、4mm<骨格材厚) 34年
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 47年

詳細は国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」をご確認ください。

出典:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁) (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

中古物件を取得した場合は、法定耐用年数ではなく「簡便法」により償却期間が短縮されます。簡便法とは、中古資産の残存耐用年数を簡易的に計算する方法で、国税庁が定めた計算式を使います。

  • 法定耐用年数の全部を経過した資産:その法定耐用年数の20%に相当する年数
  • 法定耐用年数の一部を経過した資産:その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

計算例(RC造・築10年の場合)

法定耐用年数47年・経過年数10年のRC造物件の場合:

  • 47年 – 10年 = 37年
  • 10年 × 20% = 2年
  • 耐用年数:37年 + 2年 = 39年

法定耐用年数は47年と長いですが、簡便法を適用すると39年に短縮されます。新築と比べて償却期間が短くなるぶん、デッドクロスの到来が早まりやすい点に注意が必要です。

この39年という数字を使うと、キャッシュフローへの影響がより具体的にわかります。次のシミュレーションで確認してみましょう。

RC造1億円物件のシミュレーション例

具体的なイメージをつかむために、RC造・築10年・1億円の物件を例にシミュレーションしてみます。なお、実際の数値は物件・契約条件によって異なります。

想定する前提条件は以下のとおりです。

  • 物件価格:1億円(土地4,000万円・建物6,000万円)
  • 構造:RC造・築10年
  • 利回り:7%(年間家賃収入700万円)
  • ローン:30年・金利2%・元利均等返済
  • 借入額:8,000万円(自己資金2,000万円)

前述の計算で求めた通り、簡便法により償却期間は39年のため、年間減価償却費は6,000万円 × 0.026 = 約156万円となります。

次に、元金返済額の推移を見てみます。借入額8,000万円・30年・金利2%の元利均等返済では、年間返済額は約296万円(元金+利息)です。返済が進むにつれて元金の割合は増え、利息の割合は減っていきます。

  • 初年度:元金返済額 約136万円、利息 約160万円
  • 10年後:元金返済額 約166万円、利息 約130万円
  • 20年後:元金返済額 約202万円、利息 約94万円

この推移を見ると、デッドクロスがいつ発生するかが見えてきます。初年度は減価償却費156万円 > 元金返済額136万円のため、まだデッドクロスは発生していません。しかし返済が進むにつれて元金返済額が増加し、10年後には元金返済額166万円 > 減価償却費156万円となり、デッドクロスが発生します。

発生前後でキャッシュフローがどう変わるか、比較してみましょう。

項目 初年度 10年後(デッドクロス発生)
家賃収入 700万円 700万円
経費(管理費等) 100万円 100万円
ローン返済(元金+利息) 296万円 296万円
税引き前キャッシュフロー 304万円 304万円
課税所得 700万円 – 100万円 – 160万円 – 156万円 = 284万円 700万円 – 100万円 – 130万円 – 156万円 = 314万円
所得税・住民税(概算) 約85万円 約94万円
税引き後キャッシュフロー 約219万円 約210万円

このように、税引き前キャッシュフローは同じでも、デッドクロス発生後は税負担が増加し、手元に残る金額が減少します。

なお、木造・軽量鉄骨でも計算の考え方は同じです。構造によって耐用年数が異なるため発生時期は変わりますが、基本的な仕組みは変わりません。

デッドクロスへの対策は?保有中と購入時にできること

繰上返済・借換え・物件入替・売却の4つの保有中対策と、購入時点からの回避設計を解説します。

各対策の概要を示し、詳細な実行方法は内部リンク先の記事で案内します。

繰上返済で元金を早期に減らす

繰上返済によって元金残高を減らし、元金返済額と減価償却費の逆転を遅らせることができます。

1棟物件は借入規模が大きいため、数百万〜数千万単位の繰上返済が効果的です。

ただし、繰り上げ返済をした結果、現在の資金繰りが悪化しては元も子もないので、無理のない範囲で実行しましょう。

借換えで返済条件を改善する

ローンを借り換えて金利を下げたり、借入期間を延ばしたりすることで、月々の返済額を減らせます。

返済期間を延長すれば、デッドクロスの到来を遅らせる効果があります。

借り換え後の条件は、シミュレーションをもとに判断しましょう。

物件を入れ替えて新たな減価償却期間を確保する

保有中の1棟物件を売却し、減価償却が残る別の物件に買い替えることで節税効果を継続できます。

減価償却が終わるタイミングで物件の売却と購入を繰り返すのは、複数物件を運用するオーナーによく見られる対策です。

ただし、減価償却が終わるタイミングで必ず売却できるとは限らないため、数年後の出口を見据えて、購入する物件を選ぶことが大切です。

悪化する前に売却して利益を確定する

デッドクロスで税負担が増加し始める前に売却して利益確定する選択肢もあります。

1棟物件の売却価格は収益還元法で決まるため、賃料・稼働率が維持されている間が売り時です。

ただし、「デッドクロス=即売却」ではありません。

キャッシュフローが赤字にならなければ保有継続も選択肢になるため、状況に応じた冷静な判断が必要です。

売却タイミングの税制上の注意点

売却のタイミングは、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超かどうかで税率が大きく変わります。

5年超なら譲渡所得税は約20%、5年以下なら約40%と、約2倍の差があるため注意しましょう。

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購入時点からできる回避設計

デッドクロスは、購入時点からの設計で発生を遅らせたり、リスクを抑えたりすることができます

まず有効なのが、頭金を増やして借入額を抑えることです。元金返済額が小さくなるぶん、毎月の資金繰りに余裕が生まれます。返済期間は、建物の減価償却が終わるまでに完済できる長さに設定しておくと、デッドクロスが起きにくくなります。また、毎月の元金返済額が一定になる「元金均等返済」を選ぶと、元利均等返済よりもデッドクロスの到来を遅らせることができます。

なお、減価償却費とローン返済額は購入前の時点で計算できます。デッドクロスがいつ頃発生しそうか事前にシミュレーションして、資金計画に組み込んでおくと安心です。

デッドクロスとどう向き合うか?節税との兼ね合いと相談のタイミング

デッドクロスは確かに資金繰りに影響を与えますが、「絶対悪」ではありません。

節税目的で不動産投資をしている場合など、状況によっては不可避な場合もあります。

節税目的ならデッドクロスは織り込み済みと考える

1棟アパート・マンションを保有して減価償却を活用した節税を目的としている場合、デッドクロスとのトレードオフは避けられません。

不動産投資の節税の仕組みでは、築古の物件を買うことで初期に減価償却費を大きくとり、帳簿上の利益を圧縮します。

短期間で減価償却を終えるため、減価償却後は当然ながら「ローンの元金返済 > 減価償却費」というデッドクロス状態に陥りやすくなります。

減価償却期間内でローン返済を終えていればデッドクロスは起こりませんが、耐用年数を過ぎた木造物件(4年間で償却)などを購入する場合は、減価償却後にほぼ間違いなくデッドクロスが起きるでしょう。

ただし、デッドクロスは必ずしも避けなければならないものではありません。節税を目的に不動産投資をする場合には、デッドクロスを回避することよりも、「デッドクロスが起こったときにどう対処するか」を考えておく方が重要です。

節税期間中のメリットと、デッドクロス後の税負担増を事前に想定しておくことが大切です。

判断に迷ったら税理士や不動産会社に相談する

1棟物件はデッドクロスの影響規模が大きいため、早めの相談が重要です。

特に以下のようなタイミングでは、専門家に相談することをおすすめします。

  • デッドクロス発生が近づいてきたと感じたとき
  • 対策の選択肢(繰上返済・物件入替・売却)を比較検討したいとき
  • キャッシュフローがマイナスに転じそうなとき

税理士への相談で税務面のアドバイスを受けられますし、不動産会社への相談で売却や物件入替の出口戦略も含めて検討できます。

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まとめ:デッドクロスの仕組みを理解し、早めの対策で資金繰りを安定させる

デッドクロスの仕組みと対策について解説しました。

この記事のポイント
  • デッドクロスは元金返済が減価償却を上回る状態
  • 発生要因は減価償却の終了・利息の減少・返済方式の3つ
  • 構造別の耐用年数とシミュレーションで発生時期を予測できる
  • 保有中の対策として繰上返済・借換え・物件入替・売却の4つがある
  • 購入時点からの対策として頭金・返済期間・返済方式の工夫で発生を遅らせられる

デッドクロスは確かに資金繰りに影響を与えますが、仕組みを理解し発生時期を予測できれば、適切な対策を取ることができます。

特に、購入前のシミュレーションと、発生が近づいた時点での早めの相談が、資金繰りの安定につながります。

T-ESTATEは、名古屋エリアで収益物件・事業用不動産に特化した不動産会社です。

1棟アパート・マンション経営におけるデッドクロス対策を含めた収益シミュレーションの相談にも対応しています。

購入時点からの回避設計や、保有中の対策についてアドバイスを行っています。

収益物件の売却・購入に関するご相談は、お気軽にT-ESTATEまでお問い合わせください。

この記事を書いた人
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棚川 有里(不動産仲介事業部 営業)

名古屋エリアを中心に、収益物件・事業用不動産(1棟アパート・1棟マンション・ビル・事業用地など)の売買と、貸店舗・事務所などの賃貸を担当。まずはお客様のお話をしっかり伺い、「高く売りたい」「早く売りたい」などのご希望に合わせて、無理のない進め方を提案する。隣地所有者への提案をきっかけに同時売却へつなげた事例もあり、利益を伸ばしつつリスクを減らす支援を大切にしている。
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